ユネスコ無形文化遺産 鬼とだんじり

福居町 三明(さんめい)

万力による迫真の辻廻しは必見

「日・月・星」「天・地・人」の世界観が江戸時代の表現のままで感じられるだんじり「三明」は、至って簡素な造りに極めて精巧で優美な幕や金具で飾られた、荘厳という言葉がぴったりの気品漂うだんじりです。

そんな「三明」の見所の一つに、巡行時に角を曲がる時の「辻廻し」があります。ちょっと大きめで重量感溢れるだんじりを操るのは至難の技、コース取りから停止位置決め「万力」を降ろし、一気に90度だんじりの向きを替える一瞬は、指揮・テコ方・万力方・曳き手の腕の見せ所、片時も目を離せません。囃子方も賑やかな曲で花を添えます。

また、そんな緊張感いっぱいの時でも、法被の背中では愛敬溢れる「お多福」が、その場を和ませてくれます。「福居町」の名前を表したデザインで、豪華なだんじりに圧倒されそうな時は、幸せを呼ぶ「お多福」に視線を移してみればいかがでしょうか。これも、我が町の見所です。

前幕には睨みを利かす虎

だんじりのつくりなど

屋根
唐破風、とばめ板に菊葵の絵。庇(ひさし)には、銅鍍銀(どうとぎん)の星宿(星座)。屋根のせり上げを現在も伝承。
鬼板
前は金箔の日、後ろは銀箔の月、前述の星宿と合わせて「日・月・星」をだんじりの象徴としている。
天井
格天井造り。金箔の地に極彩色の扇面花鳥図。
天幕
雲龍図(刺繍)。伝「貫名海屋」(ぬきなかいおく)の下絵。
水引幕
三十六歌仙図。幕と西園雅集図の幕がある。
前・後・胴幕
虎竹図。伝「円山応挙」の下絵。虎の刺繍の厚みや、虎の表情が見所。
欄縁(らんぶち)
飾金具二十四個は、三重県指定文化財。金・銀・銅・珊瑚を使い、毛彫りなどの高度な技法による作品。四隅には、四神(玄武・朱雀・青龍・白虎)を表す飾金具。
囃子
祇園囃子。摺鉦(すりがね)は、四個。締太鼓。龍笛。

しるし「三明幟山(さんめいのぼりやま)

幟の文字は「福居町」。この文字は松尾芭蕉の筆ではないかと伝えられています。幟は緋羅紗。作成当時の幟が保存されていたので、台車を平成2年(1990)に制作し三明幟山と名付けました。

だんじり蔵の場所